桃尻娘
先日、滅多に食べない桃の缶詰を食べたら、全身にじんましん、呼吸困難、唇が異様に腫れあがりタラコ唇になった、いわゆるアナフィラキシー症状。
タラコ唇になった自分を見たら、かなり面白い顔に変身していた、家族も腹を抱えて笑う。
かゆみと呼吸困難で苦しいのになんてひどい家族だ、でも笑えた。
以前、生海老を食べた時にも同じような症状になったので海老に関しては気をつけていたのだが、まさか桃の缶詰でアレルギー症状が出るとは思わなかった。
これも加齢のせいなのかわからないがひどい目にあった。
これから桃が食べれなくなるのがとてもかなしい。
皆は病院で検査してもらえと心配してくれるが、病院に行かずに、より体を鍛えて治すことにする。
病気なんぞは気の持ちようでなんとでもなる!だめなときは死ぬ時だと思ってあきらめる。
桃と言えば思い出す僕の中学生時代の話がある。
僕は中学生の頃の担当の数学教師がとても苦手なタイプで、ぎょろりとした目と赤ら顔、そして人参の葉のようなもじゃもじゃの髪、あだ名は人参だったと思う。
授業はわかりづらく、わからない奴はおいてけぼり、出来ないと嫌みのオンパレード、
そして生徒に変なあだ名ばかりを付けてそのあだ名で授業を進めるのだ、
みそピーナッツが給食で出て、それを休み時間においしそうに食べていた奴のあだ名は “みそぴー” だし、僕の場合にはこの教師は名前の 能勢 の漢字の読みを間違えて 熊勢(くませ)と読み、僕が違います!と言うと、なにを思ったか、お前は 熊襲(くまそ)にするとか言い出し、3年間その教師には “くまそ” と呼ばれた、熊襲というのがなじみがないし、誰も知らない、語呂も最悪でまったくつまらないし、気に入らないあだ名だった。
この教師のせいで数学が大の苦手の科目になったのは言うまでもない。
この教師は女の子にも平気であだ名を付けた。
クラスに少しぽっちゃりの笑うとえくぼが出るかわいい女の子がいた、仮にその娘をM子ちゃんと呼ぶ事にする。
何を思ったか、この教師はM子ちゃんに “桃尻”(ももじり) というあだ名を付けた。
思春期の僕にはいささか刺激の強いあだ名だった、顔はかわいいのにあだ名が“桃尻”と付けられ、自分以上にかわいそうだと思った、この教師は完全に変態だったのだろう。
M子ちゃんは授業中、指されるたびに桃尻!と呼ばれ、恥ずかしそうに顔を赤らめ答えを発表していた、その姿を見て、僕は怒りすら覚えた。
だからといって僕はその教師の胸ぐらをつかんで反抗するような、金八先生さながらの不良少年ではなかった。
しかし思春期真っただ中の少年の脳裏には “桃尻”=M子ちゃんという図式が出来上がった。
勇気を出して眺めた体操服を着ているM子ちゃんのその桃尻は、神々しくもあった。
そして今でも桃とか桃尻と聞くとM子ちゃんを思い出し、あの頃の思い出に浸るのだ。
変態扱いはしないようにしてほしいのだが、僕の女性のお尻の基準がこの頃に出来上がったのは言うまでもない。
桃の缶詰とアレルギーの話とはかなりずれたが、甘く切ない少年の頃の話だ。