金縛り
12月のハーフのレースに向けて、朝のラントレの目標月間走行距離を350キロに設定している、さすがに月の後半になると脚の疲労が溜まってきている。
それなのに今週はフットサルを週に三日も組み込んだので下半身が重い。
そのせいだとは思うが、金縛りにあった。
夜ふと目を覚ますと、誰かが僕の腰を押さえつけていた。
え?誰だ?
僕は横向きに寝ていたのだが、後ろから腰を抱え込むように女性が押さえつけていた。
顔はわからないが女性である事はなぜかわかった。
最初は少しばかりくすぐったいような感じがしたので、妻がふざけて脇腹をくすぐっているのかと思った。
しかし様子が全く違っていた、その女性は真剣に、そして力一杯僕の腰に手を回して押さえつけていた、まるでプロレス技をかけるように。
そして女性は笑っていた、笑い声が聞こえたような気がしたが、どんな声だったか覚えていない。
力がすごく強いのと、笑い声に聞き覚えがないので、妻ではないなと、確信した。
なぜこの人は押さえつけているのだろう?と冷静な自分がいた。
そして体が全く動かない事に気がついた。
これが金縛りというものか?と思ったら急に恐怖が襲ってきた。
僕の背後からは女性にがっちりと押さえ付けられているという感覚も確実にある。
そして笑い声が変化して、大勢の人のざわめきのような話し声が耳のすぐ近くでするようになってから、耳を塞ぎたくなるくらいその音は大きくなり、その音が突然消えたかと思ったら体の自由が元に戻った。
疲れているせいだと思う、絶対に。
でもその女性が誰なのか気になって仕方がない。